新型コロナウィルスにともなう緊急事態宣言も解除されました。ただ,感染の再拡大を防ぐには,以前と全く同じ状態に戻ることはできず,政府が公表した「新しい生活様式」を参考に,この変化を日常にしていくことが求められています。
「コロナ明け」のこれからしばらくは,開放感や安心感とともに,「勝って兜の緒を締める」的な態度が必要かもしれません。カウンセリングもリスクを避けるため,オンラインでご利用できます。どうぞお気軽にご利用ください。
メンタルへの影響をチェック
今年は新型コロナによる生活様式の変化や自粛の影響もあり,ストレスを抱えやすい状況が続いているといえます。大変なときに心身が変わるのは自然なことで,大変なことを乗り越えようとがんばっている証です。でも,長く続くと仕事や活動に集中できなくなります。ストレスの有無を判断するために簡易的なチェックリストをやってみると,今の自分のストレス状態に気づきやすくなります。
お勤めの方はストレスチェックの時期ではないでしょうか。会社で受けられた方はチェックの結果をぜひ参考にしていただきたいと思います。ただ,会社でのストレスチェックは実施から結果のフィードバックまでの時間が長いのと,回答する項目が多いので,実用性はいまいちかもしれません。
ただ,毎年行うことで,自身のストレスの出方(ストレスサイン)やストレスへの気づきへの意識を高めるという点では,有用と思われます。
実用上は,より簡易的な指標を使い,自分の状態を速やかにチェックできるといいですね。
ストレス・チェックの5つのポイント
チェックリストには様々なものがありますが,特に重要とされる指標をいくつか抽出してみると,以下のようになります。
- 睡眠への影響:なかなか眠れない・頻繁に目が覚めることがある
- 情緒不安定1:怒り,イライラ,カッとなる
- 情緒不安定2:怖れや不安が強く,おちつかない,落ち込みや興味の喪失
- 自責思考:自分が悪い(悪かった)と責めてしまう・罪悪感
- 身体的不調:頭痛・腹痛,腰痛などを始め,普段より体調が全般的に悪いと感じる
以上のチェックポイントは,ストレスによって生じる心身への反応を表します。ストレス反応には必ずそれをもたらすストレスの原因(ストレッサー)がありますが,ストレス反応が多彩なように,ストレッサーも多様で,普段我々はそもそも数多くのストレッサーの中で生活をしています。
そこへ,「新型コロナ」という禍(わざわい)が降ってきたせいで,今までのストレッサーが底上げされている可能性が高く,そのため,ストレス反応も割り増しされてしまい,心身の不調が出やすくなることが考えられます。
こうした反応は全く自然な反応であり,誰にでも生じることです。
ただ,以上の5つのような反応が,いつも以上にみられ,それが長期間(2週間以上)持続するようであれば,要注意。「コロナうつ」の初期症状と言える可能性もあります。
できれば毎日,「今日の自分の状態はどうかな?」と自分自身に問いかけ,心と体の健康をチェックする習慣が持てるといいですね。
ストレスへの対処法
ストレスをチェックする習慣と,自分自身をケアする時間(セルフケア)を両輪で確保することが,ストレス・コントロールの基本です。コロナによってストレスが割り増しされている今だからこそ,ますますのケアを心がけたいですね。
- 睡眠への影響:良質な睡眠のためのリラックス法:眠る前にお風呂にはいる,穏やかな音楽を聴く,呼吸法(長く息を吐くとよい),こぶしを握ってぱっとはなす,肩を上げ下げする,などのエクササイズ,柔軟体操をするなど,入眠前の儀式で心とからだを落ち着けましょう。(参考;「リラクゼーション法」)
- 情緒不安定1:感情コントロールのためのリラックス法:上記の方法は感情をコントロールし落ち着きを取り戻すためにも役立ちます。
- 情緒不安定2:上記の方法に加え,不安や恐怖は命を守る為に必要な感情であるととらえることが役立ちます。また,恐怖の対象を知ったり,予防のための方法を学ぶような前向きさも役立ちます。(参考;「認知行動療法・マインドフルネス」)
- 自責思考:緊急事態の中では思考が混乱し,自分や他人を責めたくなることがあります。これも自然な反応です。落ち着いてポジティブなつぶやきを探したり,ポジティブにつぶやくようにしましょう。(参考;「認知行動療法・マインドフルネス」)
- 身体的不調:体の状態をモニタリングして,変化のサインに気づけるのはとても大切です。それでこそ,セルフケアへ踏み出すことができます。①~④のケアに加え,続くときは相談機関や医療機関を受診するといった対処を決断することも必要です。
いつもの方法にプラスアルファを
ストレスへの対処法にはさまざまな選択肢がありますが,バリエーションを増やしておくことで対応力が増します。前の記事(「メンタルを維持するために試したいこと」)もご参考いただき,前向きに取り組んでいただきたいと思っています。アフターコロナについてはこちら(「コロナ明けと自粛疲れ」)でも取り上げていますので合わせてお読みいただければ幸いです。