解決構築療法(Solution Building therapy)
解決構築セラピー(以下SBT)は、大きく分けるとブリーフセラピー(短期療法)に分類される心理療法の一技法です。
米国のBFTC(Brief Family Therapy Center)においてインスー・キム・バーグ(Insoo Kim Berg)とスティーブ・ド・シェーザー(Steve de Shazer)により開発され,初期は「解決志向アプローチ」と呼ばれていました。
1980年代ごろから新しい治療技法として、世界的に注目されるようになり、わが国でも臨床心理や心身医学の領域においてその研究と実践がさかんに行なわれています。
基本となるのは傾聴ですが、大きな特徴として、
②原因追求による“問題解決”よりも“解決の構築”に焦点をあてることが挙げられます。
中心哲学
2) うまくいっていることが分かったら、もっとそれをせよ。
3) うまくいかないなら、何か違うことをせよ。
⇒「何がうまくいっている」のか知ること。「わずかでもうまくいっていること」は何か追求すること。(CLが)知らず知らずのうちに「うまくやっていること」を引き出すこと。
解決の糸口はCLが持っている
・ 小さな変化が大きな変化につながっていく。
・ まず目指すのは、小さな変化を引き起こすこと。
CLが抱えている問題を解決する専門家は、CL自身である。
・ CLの生活における流れ(文脈)の中で、CLが何を行うかを考える。
・そのためにも、CLの枠組みを尊重するところから出発する。
上記のように、徹底してクライエントさんが既に持っている力(リソース)を引き出すことにこだわります。病理やうまくやれていないところ(問題)ではなく、健康な部分やうまくやれていること(解決のかけら)に焦点を当てていきます。
その、解決のかけらを集めて、目標とするゴール(ウェルフォームト・ゴール)を構築していきます。
解決のかけらをさがすために、カウンセラーは様々な質問をしていきます。言い方を変えると、適切な質問をすることで、クライエントさんが持っているリソースを引き出していきます。
SFTにはそのための質問の公式が用意されています。
例
- ミラクル・クエスチョン
- スケーリング・クエスチョン
- コーピング・クエスチョン
- 関係性の質問
- 例外探しの質問
こうした質問をして、眠っている様々な可能性を発見し、解決へ向かう力をつけていくと共に、今までと違う第一歩を踏み出すきっかけを作っていきます。
幣所ではカウンセリング(認知行動療法)の中に随時取り入れて使用することで、認知行動療法の効果をより促進するように工夫して用いています。
SBTによる「心のトレーニング」
SBTは一般の方への自己啓発のためのメソッドとしてのコーチング・スキルや教育現場での児童・生徒への効果的なかかわりとしても根付いています。
ストレスに強くなるための「心のトレーニング」や,対人コミュニケーション・スキルとして,一般の方が身に着けることにも大きなメリットがあるでしょう。