休業・休職・復職
休業・復職による不安は当たり前
休職するときは仕事から離れる不安が起こりやすく、復職するときは仕事に近づく不安が起こります。
いずれも、環境の変化に対しての自分の考え方や振る舞いに対しての先を見越した心配であって,まったくおかしいことではありません。
それも当然のことと受け入れ,スモール・ステップで取り組み,職場や医療機関の支援も受けながら、着実に克服していきましょう。
休職・休業による長期の休みは,ある意味いいチャンスです。
メンタルヘルス不調によって、むしろご自分の今までの生活や仕事への向き合い方について,視点を変えたり,客観視をする機会となり,人生というものを捉えなおし,見直すことが出来たというように、前向きに捉えることも可能です。
実際に,回復された方にはそのように述懐される方もよくおられます。
危機を成長に変える
こちらにも書いておりますが、うつや適応障害などのメンタルヘルス不調は、ある意味今までの自分のライフスタイルのしわ寄せともいえ、生活習慣病といってもいいものかもしれません。
自分を追いつめ、自己犠牲とともに心身を疲弊させることで自分を保つという、何かを「埋め合わせる」かのような生活の仕方は、メンタルヘルス不調を呼び込む習慣といえるでしょう。
そこに、病によって今までの生活から一歩距離を置き、客観的に眺めることによって、いかに自分が今まで自分を大切にしていなかったのか、そして無理をしすぎていたのか、他人からの評価を気にして、それを基準にして考えすぎていたことに気づく事が出来れば…より健康に志向した新しい自分になった,という事かもしれません。
そうはいっても,復職とはとても現実的な問題であり,スモール・ステップで進めるといっってもストレスのかかる課題です。
復職に際して具体的な心配・不安がある場合、それに対しての対策をしっかりとっておくことが不安を軽減し、かつ職場へのソフトランディングに役立ちます。
リワークなどの効果的な支援を提供する施設も増えてきました。そうしたサービスをしっかりご利用することもできますし,そのう上で、ご自分をしっかり振り返るために,マンツーマンでの認知行動療法も効果的です。
また,休職・休業ではなく、会社を退職し、再就職を目指している方も、同様に、仕事・職場に対しての不安が強い方が多くおられます。
若くして離職されるにはそれ相応の理由があり、トラウマ体験などがあると、それが強い不安になって再就職をためらわせる、という一因になります。
これについても、過去を振り返り、不安と向き合いながら、対策をしっかりとっておくこと、ご自分にとっての働くことの意義、価値を明確にしておくこと、など,第三世代の認知行動療法によるセルフ・マネジメントを用いることが役立つでしょう。