いつも,「できていない」と思っていませんか?
仕事が忙しいとついがんばりすぎてしまい,疲れをため込んで不調をきたす例は少なくありません。
特にメンタル面で不調をきたしやすい特徴の一つに,「できていないことに焦点化する」という思考のパターンがあります。
もともとの特性であることもありますし、多忙さやミス、疲労などによって生じることもあります。
8割方できていても,その8割の中に1分の失敗なり誤りを見つけるとそれを拡大視し,できている8割分さえできていない,というふうに考えてしまうのです。
失敗の拡大視
カウンセリングでもよく出会いますが、いわゆる完璧主義とか全か無か思考などと呼ばれる、なかなか頑固なこころの負担になりやすいパターンです。
完璧主義の功罪
完璧主義の人は「完璧であらねばならない」「失敗してはいけない」という偏った信念(思い込み)にとらわれ,さらに「完璧でない私はダメな人間だ」「人に迷惑をかけている私はダメだ」と考えを深めやすいのです。
それを穴埋めするかのように自己犠牲的に無理をしてでも成果を出そうと頑張ります。
ただ、完璧には到達できないので、さらに自己否定が強まり、徐々に疲労がたまるという負のスパイラルにはまると、がんばりすぎによりそのうちエネルギーが切れ、次第にがんばることに虚しさを感じたり、気力がなくなってきたりなど、がんばりが空回りし始めます。
こうなると、メンタルヘルス的には要注意ですね。
こうした状況では,周りがいくら励ましたりほめてくれてもなかなかその言葉を受け入れられず,かえって自己否定感を強めることで自信を失いやすくなることもあります。
それだけでなく、失敗や叱責を恐れるあまり,行動そのものが消極的になったり、新しいことにチャレンジする意欲が失われることもあり、それが生活全般の活力の低下につながるということもあり得ます。
完璧主義から離脱するには
まずは,少し合理的に考えてみましょう。
それを解決するためには,次のように,
「私は人である」
「だから私もミスをする」
という三段論法で考えるのも一つの方法です。
次に、
- 「できたところ(成功)に焦点を当てる」ということを「忘れない」ということを心がけましょう。
- そのために、「できたこと日記」などのように記録をつけることは効果的です。
もちろん,ミスそのものはないのに越したことはありませんので,「失敗」については別に検証し,反省する態度も必要です。
つまり、「成功」と「失敗」、この両者は両立しうるもの、という理解が大切です。
すなわち大事なのは「失敗の受容」なのですが、「成功」を十分に認めることができれば、「失敗」から目をそらさず、「失敗または失敗した自分を許容して受け入れる」という自分に対しての寛容な態度を持つことができます。
自分への思いやり(セルフ・コンパッション)
何より、自分の成功を喜び、失敗を受容・許容するには、自分へのやさしさ、思いやりをもつということが大切です。
それによって、人は自分の行いを振り返り、修正する意欲を持つことができます。それはとても謙虚であり前向きな態度であると言えます
このように、考え方のバランスが取れたらどうでしょうか。
「失敗する私」という新しい自己像
失敗を受け入れる,ということは,失敗をしてもいいと思えることです。
そもそも全ての人が失敗をするものだ,ということは,
そう考えると,何事にも,失敗を恐れず成功に焦点化してかかわっていけるのではないでしょうか。
そうすると、不安は軽減され、メンタル面でも楽になり、仕事上の成長にもつながるかもしれません。
案外、その方が結局、完璧により近づけるのかもれませんね。
なにしろ、あなたもう十分にがんばっているのですから。
おまけ ~反・完璧主義のための9カ条~
これらの考え方は「強制」されるものではありません。
むしろ、「共生」です。
完璧主義であってもいいのです。むしろそれを否定せず、それさえも大切な自分自身と受け入れて、ただそれが自分を苦しめているということに気づいたのなら、そこに巻き込まれず、少し間をとって別バージョンの考え方を探してみましょう。
そのためのヒントを下記にまとめてみました。ご参考になりましたら幸いです。
・ 肩の力を抜いてリラックスしよう。
・ 一息入れて切り替えよう。
・ 過去の成功を思い出そう。
・ 私が達成したことは○○(成功体験に焦点を当てよう)。
・ 少しずつ(スモールステップで)進もう。
・ 「失敗するのは人類共通で、私だけではない。」と考えよう。
・ ○○ができてよかった!と考え自分をねぎらおう。
・ 自分にも人にも,やさしい、思いやりの気持ちをもとう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
「失敗を受け入れて柔軟になりたい」とお思いの方,「生きにくさの解消」に向けて,ぜひご相談ください。