系統的脱感作療法|広島心理教育研究所の心育カウンセリング

カウンセリング

系統的脱感作療法

古典的条件付けを応用した行動療法の一技法。不安や恐怖といった緊張反応に対して,身体的なリラクゼーション法を用いて意識的にリラクゼーション反応を起こすことで,緊張反応を中和することができます。

緊張は不安や恐怖を感じる状況に対しての条件反射であるとすると,ある状況で感じる不安や恐怖に対して繰り返しリラックス反応をぶつけると,やがてその状況に対しての不安や恐怖が消去されるという原理(逆制止・脱感作)を応用した技法です。

すなわち,「苦手なものに少しづつ慣れることで克服していく方法」といえます。

イメージによって行うイメージ脱感作と現実場面において行う現実脱感作がありますが,もちろん、現実脱感作の方が実施において与える負担は大きくなります。

手続き的に時間的コストがかかりますが,特定の問題に対しては極めて効果的な方法です。

方法

1.不安階層表の作成

不安や恐怖を感じる状況を整理して,不安のレベルを0~100の間で評定し、一定の間隔ごとに不安や恐怖を感じる状況のランキング表(不安階層表)を作成します。順位や数は任意ですが,なるべく等間隔になるようにおおむね,1~10段階くらいまで設定します。

2.低い位置から逆制止を行う。

作成したランキング表に従い,ランクが低い位置から順番に脱感作の手続きを行っていきます。不安階層表の状況をできるだけ具体的にイメージするという手続きによっていったん,不安や恐怖をかきたてることになるので,基本的には「1」から始めて,「2」「3」…「10」とスモールステップで行うことが大事です。治療の際の負荷は少ないと言えますが,その分時間はかかります。

(一方,暴露反応病害法(エクスポージャー)という方法もあり,こちらは時間は短縮できるが負荷は大きいため,クライエントさんの希望や状況に応じて使い分けます。)

※ 逆制止の際に、拮抗反応としてリラクゼーション反応を用います。そのため、事前に何らかのリラクセーション法を習得しておくことが必要です。呼吸法や筋弛緩法、自律訓練法などが用いられることが多いですが,このリラクセーション法を習得するのにも時間を要します。

逆制止の手続き

※イメージ脱感作の方法です

  1. まず、リラクゼーション法を行い、心身をリラックスさせる。
  2. 次に、不安階層表のレベルの低い位置にある不安状況を選ぶ。
  3. その状況を頭の中にできるだけ具体的にイメージする。
  4. 不快な感情、身体的反応が起こっていることを確認する(0~100で評価)。
  5. リラクゼーション法を、反応が0になるまで行う。
  6. 3)に戻り、同じ手続きを繰り返す。
  7. 3)を行っても、不快な感情や身体的反応が起こらなくなるまで行う。
  8. 次の状況についても同様に行う。

このように、系統的脱感作療法では、負担の小さいところから初め、徐々に負荷の大きい状況を順次逆制止によって克服していく手続きをとります。

最終的に100の状況を克服することができてもそれはイメージ上のことなので、実際にどの程度までできるのか、現実的な状況の中で確認していきます。必要であれば、さらにイメージ脱感作を加療します。

※以上,大まかな手続きについてご説明しましたが,専門家の支援の下に行うことで効果が見込めます。当所のカウンセリングにおいても実施していますので,特定のモノ・状況・人への恐怖・不安等でお悩みの方は是非ご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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