仕事のやる気が上がらないときの処方箋

新しい仕事を始めて,がんばって月日が過ぎると,次第に当初の情熱が薄れてくることがあります。

いわゆる「中だるみ」とでも言うのでしょうか。カウンセリングでもよく出会うお悩みです。こんなときは,どんな心構えでいたらいいのでしょうか? カウンセラーからのご提言です。

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新しい環境や仕事を始めることで意欲も高まり元気も出ますが,そのテンションをずっと維持するということは難しいでしょう。

なぜなら,人は「慣れる」ものであり,それにつれて「飽きる」からです。

できないことやわからないことを克服して上達するその過程は喜びの連続ですが,それがある程度のレベルに達すると,「喜び」が「当たり前」となり,そうなると達成に対してのエネルギーが供給されなくなるのです。そうすると,「できている」のに,なぜか不全感を感じ,仕事がつまらなくなって,ネガティブ思考が強まります。

それはある意味で「成長」している証なのですが,意欲や情熱が薄らいだ状態の中ではそう感じることは難しく,「こんなはずじゃなかった」と嘆いてみたり,「仕事やめようかな」と考えたりすることもあるでしょう。

ただ,本当にそうなのだろうか? これは自分の認知の歪みではないだろうか?と,仕事の意味を再構築して,これからの情熱につながる動機づけを探索することが大切です。

「始めること」と「続けること」には別の動機づけが必要なのです。

こんなはずじゃなかった!?

もし今,「こんなはずじゃなかった」と思うとしたら,これまでのプロセスをどう意味づけるか,ということが今後の動機づけに影響するでしょう。

当初の思惑とは違っていても,こんなはずじゃなかったと感じているということは「成長」の結果なので,「成果」も必ずあるはずです。それを列挙・視覚化しましょう。

「こんなはずじゃなかった」という思いは「環境要因」にフォーカスしているとき起こりやすいです。自分が想定していた環境と現在の環境が合致していないと満足度が下がります。

その中で「こんなはずじゃなかった」→「がんばった結果こんな成果を手に入れた」「がんばって成長した自分」にフォーカスしてみましょう。

これまでの「成果」リスト
  • できるようになったこと
  • 新たに知ったこと・獲得した知識
  • これまで知らなかった処世術,生きる知恵
  • ・・・その他いろいろと検討してみましょう。

たとえトラウマティックな経験であっても,その意味付け次第で大きい成長をもたらすことが知られています。

過去の困難にさらされてきた経験(そしてそれを克服してきた経験)は将来の自分の強みになる,と考えましょう。

結構よくある誤解が,「自分は何もできていない。」という認知の歪みによる思考です。本当は上記のように,色々できるようになり,確かにやってきているはずなのです。

これまでの期間が 無駄な時間ではなかったという理解は未来への期待をもたらします。

また,「自分も人(環境)もリスペクト」するという気持ちが役に立つこともあります。

ある意味,「運命に感謝する」ということでしょうか。

いささかスピリチュアルではありますが,自分へのリスペクトで自己を思いやること,そして他者へのいたわり・慈しみは自らの気持ちの安定,さらには能力の向上にも貢献が期待できます。

さらには,趣味や私的なアクティビティの領域でいろいろ初めてのことにチャレンジして,情熱を感じ続けることも有用です。

大事なのは,あくまで「自分優先」でありながら,環境にも感謝するという,矛盾した思いを受け入れるということでしょうか。

それは,「生きがい」にもつながってきます。

要するに,「急ぎすぎず,焦りすぎず」,「自分も人も大切に」の気持ちで,再スタートが切れるといいですね。

最後までお読みいただき,ありがとうございました。