暴露反応妨害法(エクスポージャー)
苦手なものを一気に克服していく方法。主にパニック障害など、身体的不快感によって著しい恐怖や不安を感じ、その場や対象に接近することを避け、そのため対象に対しての不安が予期的なものになっていて,想像の中で不安や恐怖どんどんとかきたてられてしまっている場合に有効とされます。
系統的脱感作法と同じようにイメージによって行うイメージ・エクスポージャーと現実場面において行う現実エクスポージャーがありますが,もちろん、現実エクスポージャーの方が実施における負担は大きくなります。
手続き的に負担は大きいですが,即効性も期待できる方法です。
方法
1.不安階層表の作成
不安や恐怖を感じる状況を整理して,不安のレベルを0~100の間で評定し、一定の間隔ごとに不安や恐怖を感じる状況のラインキング表(不安階層表)を作成します。順位や数は任意ですが,なるべく等間隔になるようにおおむね,1~10段階くらいまで設定します。
2.中程度の位置から行う。
不安階層表の、高すぎず、低すぎずの位置(おおむね「3」とか「4」くらい)から始めて、不安反応が惹起されてもリラクゼーション法による拮抗反応を利用しません。
不安が生じた際に、その不安反応が収まるまで「何もしないで」その場にとどまります。不安が生じても,何もしないのに自然に反応が収まることを経験することが大事です。それにより、場所や対象と不安反応との条件付けを消去することができます。
その場から「逃げて」しまうとそれによって「安心感」を得てしまい,それがもともとの不安をさらに強めてしまうので,注意が必要です。
また,不安は自然に消えていくという理解と経験によって,心の中で不安を予期的にかきたてて,想像の中で大きく膨らませていくことがなくなるため,対象への予期不安を軽減することができます。
生じた不安反応が収まるにはおおむね20~30分程度。逆に言えば,そのくらい時間が経過すれば,反応は自然に収まっていくものです。不安や恐怖が起こるのは自然な反応と理解し,生じている反応を抑え込もうとしないで,受け入れる気持ちで時間の経過を待つことが大事です。
(初めから最強度の不安から始める場合、特に「フラッディング」と呼ばれます。)
やり切ることができれば即効性が期待できますが,中途半端に行い不安反応が収まる前に場から離れるなどの対処行動を行うとさらに不安が強化されることがあるので注意が必要です。
※以上,大まかな手続きについてご説明しましたが,専門家の支援の下に行うことで効果が見込めます。当所のカウンセリングにおいても実施していますので,特定のモノ・状況・人への恐怖・不安等でお悩みの方は是非ご相談ください。