アダルト・チルドレン

人間関係

アダルト・チルドレン

アダルト・チルドレンという言葉自体は正式な診断名を示すものではありませんが、文字通り、大人の心の中に、感情や考えを抑圧されたために大人になりきれなかった子どもの心が残存している状態のことを指すことが多いです。

その原因は、非機能的な家族関係にあり、自分の親からの否定的な扱い、虐待(かそれに近い状態)を受けて育った体験によって、自然な欲求や感情を表現しないで、自分を押し殺しながら周囲に合わせていく態度で生活することを学習してしまい、それが成長して大人になってからも、人生における基準として機能してしまうことにあります。

これを「インナーチャイルド」という言葉で表現することもあるようです。

インナーチャイルドとスキーマ

アダルト・チルドレンにしてもインナー・チャイルドにしても、それが心の奥底にある、小さいころから学習された基本的な思考と感情、そして行動パターンの現れを表現するのなら、それは、認知行動療法でいう「スキーマ」に当たると思っていいと思います。

スキーマとは,思考の枠組み,と言ってもいいですが,物事を考える時の「鋳型」のようなものです。

星の鋳型にクッキー生地を流し込むと星の形になるように,どんな形にもなれる対象を自分の心の「鋳型」を通すことで,常に同じ形にしているのです。

そのスキーマがいわゆる「ネガティブ」な形をしている場合,自分や人に対してのネガティブな見方をもたらし,常にうつうつとして,不安な気分をもたらすことになります。

長期化するうつ病や不安症の背景には,幼いころの消化しきれない思いがインナーチャイルドとなり,大人としての心理的な自立を妨げるあなたのこころの鋳型「スキーマ」として存在しているのです。

そしてそれが,自分でも意識していない物事の「とらえかた」として存在し,知らず知らずのうちに自動的に機能することで,まさに今,意識できる「思考」を作り出しているのです。

「スキーマ」の存在には気づきにくいのです。

ただ,このスキーマは形の違いは様々でも,人には誰にでもあるものであり,ある意味で「個性」をもたらすものといってもいいものです。当然,「よい・わるい」で評価できるものでもありません。

大事なのは,「自分自身にも当然スキーマがあり,その形がどんな形をしているのか理解すること」なのです。

インナーチャイルドを癒すには

当所ではアダルト・チルドレンやインナーチャイルドという概念では扱いません。

アダルト・チルドレンと呼ばれる状態がもたらす,今そこにある思考や感情,そして行動に対してアプローチして,あなたの心の奥底に根付いた「パターン」,すなわち「スキーマ」を解きほぐし,新しいあなたを再構築していくお手伝いをいたします。

やはりそこには,セルフ・マネジメントを基調としたカウンセリングが必要です。

大事なのは,あなたが自らに対して開かれた気持ちで接し,「これまでの自分・これからの自分」と向き合っていくちょっとした勇気と行動です。

「今までのあなた自身」を否定することなくやさしく受け入れ,肯定しつつ,「今,そしてこれからのあなた自分」も肯定していく取り組みを支援します。

インナーチャイルド(スキーマ)は主として過去の体験に基づいて形成されていると思われますが,過去を変えることはできないので,過去にはこだわらず,「今までの取り組み」「今,そしてこれから」に注目して,「今できること」から未来志向で取り組みます。