アクセプタンス・コミットメント・セラピー(ACT)

アクセプタンス・コミットメント・セラピー(ACT)

背景として「関係フレーム理論」「臨床行動分析」など人の行動と行動としての言語(言語行動)に関する難解な理論があります。

「認知」と「行動」に働きかけるという点では認知行動療法と原理は同じですが、「問題から逃げ腰になる」という「偽の解決法」を追うことをやめ、「問題(悩み)と向き合いながら、むしろそれによって今の生活の質を上げる」という、一見すると矛盾するような考え方をとります。

人それぞれの「価値」を追及し、それによって行動への強い動機づけをもたらし、能動的な活動を営むことで「喜び」や「達成感」といった快い感情を得るプロセスには、今までの心理療法・第二世代までの認知行動療法とは一線を画す「スピリチュアルな視点」が求められることから、「第三世代の認知行動療法」として脚光を浴びています。

方法としては、セルフモニタリングによって問題をアセスメントし、自己理解を図る点では認知療法と同じですが、その後、苦悩が苦悩あり続けていることの原理を理解していただくために、「たとえ話」を用いながらわかりやすくご説明することであなたが苦悩とすんなりと向き合えるように(アクセプタンス)支援したり、同時に、苦悩の元になる「認知的フュージョン」と呼ばれる不快な感情をもたらす回路を切断する(脱フュージョン)ためのエクササイズを行います。

これらのエクササイズにはイメージ療法や催眠などと関連する技法もあり、非常に幅広く心理学的なメソッドを応用しています。

最終的には、苦悩を道連れに価値ある未来(価値の明確化)に進む(ウィリングネス)ための具体的な行動を作り上げていくことが目的です。    

実際のセッションでは、

  1. 「苦悩」を見つける。
  2. 「苦悩」への今までのかかわり方を見つける。
  3. たぶん、それがうまくないから「苦悩」が続いていることに気づく。
  4. または、それが「苦悩」を持続させる要因になっていることに気づく。
  5. その上で、「苦悩」に対する別のかかわり方を見つけていく。
  6. 「苦悩」にかかわる勇気を出すために、進むべき道を明らかにしていく。
  7. 最終的には「苦悩」と共に進める自分になる。

というようなプロセスでセッションを行います。

セッションでは、「自分自身の体験を信じる」ことが大切で、結果よりプロセスを重視する態度をもつことで、治療が促進されます。

「苦痛をさけることで得られたものは、何も得られなかったという苦痛だ。」

ACTではアクセプタンスやウィリングネスのために,マインドフルネスであることが求められるため,実際のところマインドフルネス訓練がかなりの比重をしめています。


「苦悩」とともに進む幸せの道を見つける方法がACTです。