メンタル・カウンセリング

カウンセリングのポイント

どのような問題でも、どのような技術を使うにしても、常に「一期一会」の精神で、一回一回のセッションを前向きに、そして全力で取り組みます。これは、私のカウンセラーとしての「誓い」です。

1.傾聴と「こころの整理」

共感しつつ丁寧にお話を伺います。決して、反論したり、お説教することはありません。十分に毒を吐き出していただきます。そして、一緒に問題の整理ができるようにつとめます。

そして可能な限り問題の整理がついたら、悩みの解決に向けてのプロセスについて、あなたのストレングス(強さ)を見つけるための質問をしたり,認知行動療法でどのように解決に近づいていけるのかご説明させていただいたりすることで,ある程度の見通しを付けていきます。

2.セルフ・マネジメント

こころの整理がつくと、問題は多種多様でも、扱うべきポイントは意外と限定できる場合が多く、たいていの問題は「セルフ・マネジメント」の切り口で解決に近づいていけることに気づけます。

傾聴から始まり、認知・行動療法で考え方と行動にアプローチをしていくことで、自己肯定感が高まるとともに、偏った考え方や物事のとらえ方がバランスよく調整され、思考・行動・感情のセルフ・マネジメント力がつき、悩みの出口を目指すことができます。

カウンセラーは決して「預言者」でも「予言者」でもありません。人の心を読める超常的な能力を持っているわけでもありません。

したがって、私は単なる「あなたの解決」への水先案内人であり、実際にはあなたご自身の力が発揮されることが必要です。そのためにあなたの意思決定を尊重し,あなたを積極的にエンパワー(力づける)し、コンプリメント(賞賛、承認)することで、本来のマネジメント力を取り戻し、あなた自身の力で創造的なマネジメントへと進めるよう応援します。

そうして得られたものは、今回に限らず、今後一生にわたって使える、あなたのこころの「資産」になります。

3.マインドフルネス志向的認知行動療法

マインドフルネス志向的認知行動療法は従来の認知再構成法とよばれる、思考を修正する方法を中心とした認知行動療法と異なり、「考え方を変える」ということにはこだわらないのが特徴です。よく、「もっと楽に考えたら?」とか「そんなに自分を責めないでも大丈夫だよ」とか、励まされることもあるかもしれませんが、それができたら、悩んでいないわけですから。

マインドフルネスは、マインドレス(心ここにあらず)の状態から、『こころがここにある』ように、「瞑想」や「呼吸法」といった、自分と深く向き合う東洋の修行法を応用する方法です。考えから距離をとって「受け入れていく」ことがポイントになります。

当所代表である小村は、考え方を変えることを認知行動療法の最重要事項ととらえ、そのために多くの技法を学び、実践してきましたが、それで立ち直っていく方も多い反面、治療から離脱して行かれる方もおられました。そこから、なんとかドロップアウトを防ぐため、考え方を変えるよりもどうやってそれを受け入れていくのか、ということに関心を持ち、行き着いたところが現在の「マインドフルネス」と「アクセプタンス・コミットメント・セラピー」です。

誰も好き好んで、なじんだ自分の考え方を変えたくないのです。ただ、それが自分を苦しめていることも事実。そこに大きな葛藤が生まれます。受け入れたいけど,変えたい。けど、変えることにためらいが…。

今までの自分を受け入れるには,あらゆるものに対する「慈悲の心(コンパッション)」が必要とされます。慈悲とは「やさしさ」といってもいいでしょう。「自分に優しいまなざしを向けること」がまずは解決の糸口です。

また、「変えること」に伴う「痛み」が「変えたことによる将来のメリット」を上回ると,変化にはどうしてもためらいが生じます。そこで、「痛み」を受け入れ、そして、「将来のメリット」を最大化できるような取り組みが必要となるのです。

当所では、上記のような視点で、「悪いところをなくすと良い状態がやって来る」と考えるより、「悪い状態」を受け入れることで、初めから「良い状態」=「目標」を目指すことができるよう、病の治療というよりも「生活の質」の向上という観点から、目標を目指す行動のプロセスを活性化するための知識や技術(行動活性化)をあなた自身が身につけ,習慣化できるようなアドバイスをいたします。

したがって,ある一定の「課題」を生活の中で実践していただくことをご理解いただく必要がありますが,取り組みは,今後のあなたの新たな習慣として取り組み続けていただくことが大事であり,それがセルフ・マネジメントが大事なゆえんです。

マインドフルネス認知行動療法は心と身体の相関をとても重視しているところから、当所では、認知行動療法を「心身と生活のマネジメント法」ととらえて、全人的(ホリスティック)な観点から今後も発展させていきます。

カウンセリングが効果を上げるためにお願いしたいこと

  1. 疑問があったら必ず質問をしましょう。「質問するなんて恐れ多い」などという一人前のことは治ってから言いましょう。
  2. 不満があれば必ず文句を言い、自分の不満を伝えましょう。
  3. そして、カウンセラーを利用しつくして、よくなりましょう。

<上手なカウンセリングの受け方(松原秀樹,2011)>

【補足の説明】

  1. よくなるには、「これで治す!」という強い意気込みが必要です。覚悟といってもいいです。そうであれば、質問をためらうことはないはずです。本当は聞きたいことが山ほどあるはずなのです。これは、ご自分がどんなことを考えているのか練習するためにもなります。とにかく、質問してください。
  2. カウンセラーも人間なので、すべてに配慮を巡らせることは無理です。もしかしたら、あなたの意図や思いとずれたことを言ったりしているかもしれません。そんなときは、ぜひ教えてください。不満を言うことも、改善を目指す際のポイントの一つです。
  3. 当所のカウンセリングは、「治療」や「治す」わけではありません。あなたに私が持っている知識や技術をお伝えして、それを「学んで」いただきます。私の教えるネタが尽きるほどに利用してください。そうすれば、口幅ったいですがよくなっているはずです。

そうして、使ったコストに見合う利益を持ち帰ってくださることが私の願いです。

ご利用のご案内

以上、最後までお読み頂き有難うございました。明るい明日が訪れますよう、こころよりお祈りしています。お問い合わせ、お申し込み、心よりお待ちしています。

広島心理教育研究所代表 

小村緩岳(臨床心理士)