筋肉が緊張しすぎた状態は言い換えると、緊張に偏りすぎた状態と言えます。
弛緩しすぎもよくないわけで、心の健康には両方のバランスを整えること、そして意識的に両者を区別して必要に応じて使い分けていくというワザが必要になります。
そのためには筋弛緩法も役立ちますし、日頃からのセルフケアとしての気晴らし活動(楽しみごと)も役立ちます。特に、スポーツなどの身体的運動は役に立つでしょう。
私は以前も書きましたが、気功や太極拳によって筋肉の緊張と弛緩について学んだことが現在の筋弛緩法の技術に貢献していると感じています。
さらに近年はイスラエル生まれのボディワークであるフェルデンクライス法をかじったことによって、効率的な体の動かし方についての知識が深まり、より効果的に心身のバランスをとることができるようになった気がします。
使うところは使い、遊ばせるところは遊ばせる、力を入れるところには入れて、抜くところは抜いておく、という単純なことですが、普段の体の使い方はとても大雑把なので、その区別がついていないわけですね。
心の用い方にも同じようなことが言えます。
気功や太極拳、そしてフェルデンクライス法も、訓練において重要なことは、体の隅々に意識を巡らせて、普段は意識していな体の動きに意識を向けていくことです。そして、心の動きが体を動かすという原理を体で覚えていくことに意味があると考えています。
近年の認知行動療法では、マインドフルネスという技法が注目されていますが、それと非常に近いものと考えています。
普段は無視している体からの声に耳を傾けることは、メンタルヘルス上とても有意義なことといえるでしょう。