広島心理教育研究所・臨床心理士の小村です。
春の温かさから一転,また冷え込みますが,適応が難しいですね。
小村は島根の出身ですので,寒さにはある程度慣れていますが,寒暖の差の激しさには辟易です。
さて,前回,動作法について書きましたが,動作法も体に注意を向ける,という点ではマインドフルネスと共通しています。
ただ,マインドフルネスでは,身体という存在を使って,自分が今ここにいる,という事を意識できるようにしていきます。つまり,ターゲットは「こころ」のありようです。
身体はそれを媒介するもの,ということですね。
したがって,人によっては少し,効き目というか,実感が得られにくい,という事も起こりやすいです。
何と無く,これがマインドフルネス,ってことなのかな~?という感じですね。
もちろん,それでいいのです。その感じで,練習を続けることが大切なのですが,実感が薄いと,継続するときの動機づけがつきにくくなり,挫折してしまう,ということにもなりかねません。
一方,動作法は,ターゲットは明らかに「身体」です。もっとも,身体に影響があると,必然的に心にもその影響が届きますので,身体を媒介して心に影響を広げる,という意味ではマインドフルネスと同じです。
ただ,動作法では,しっかりと体を使いますので,効き目や効いたという実感を得られやすいです。
動き方の手順を覚えておけば,比較的短時間に即効的に効果を見出すことができる点は,マインドフルネスにはないメリットと言えるでしょうね。
そのため,マインドフルネスよりは実践が続きそうな方法ではあります。
ただ,注意点としては,同じ動作を毎日やっていると,効果が弱まったような気がしはじめ,次第にやる気が低下する可能性があります。
効果が弱まったような気がする,という事は,動作法がうまくいき,その部分のこりや緊張が解放されたという事を意味するわけですが,それは,身体をうまく使えるようになったサインともいえます。
動作法は,いわゆるストレッチやヨーガとは違い,身体を柔軟にすることが目的ではないので,習得が進んで上手になると,少し物足りなくなるのですね。
実は,その物足りなさ,がとても大切なポイントといえます。
動作法は,その物足りないくらいの動きを通して,頑張りすぎない心を涵養していくことで,心理療法として役立てられるのです。
「大きく動いて,一生懸命伸ばす」より,「可能な限り小さく動
いて,その動きに大きい注意を向ける」と,徐々に微細な身体感覚に気づくことができ,それが身体のコントロール力を上げ,ひいては心のセルフコントロール力を上げることにもつながります。
今日もお読みいただきありがとうございます。
「自分も人もお大事に」