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「手を抜く」ことも全力投球|広島心理教育研究所

広島心理教育研究所代表,臨床心理士・公認心理師の小村緩岳です。

前回の投稿で「8割」の力について書きましたが,これはある意味,2割ほど手抜きをする,ということです。

人によっては,その「2割の手抜き」が許せない,という方もおられます。

減点主義,と言いますか,8割の頑張っている部分よりも抜いている2割に焦点が向き,8割分の頑張りを「なし」にしてしまう極端思考の一つです。ワーカホリックの方に多いですね。

ふと頭に浮かんだのが,水島新司さんの野球マンガ「大甲子園」のあるエピソード。

ご存知の方もいらっしゃるでしょう。

主人公,高校野球界屈指のスラッガー山田太郎がライバルの豪球投手・中西球道と対決する場面。天才バッターである山田に対し,豪速球投手の中西はストレートのみで勝負を挑みます。

中西の豪速球に対し手こずる山田ですが,徐々にタイミングがあってきたため,捕手はタイミングを外すためにチェンジアップ(「抜いた」球)を要求します。

それに対して中西は,

「逃げろというのか?いやだ!」

と拒否しますが,その次の捕手のセリフが泣かせます。

「逃げるわけじゃない! 抜いた球も一球入魂の全力投球だ!」と説得します。(※正確には覚えていませんが,確かこんな感じのセリフです。)

何が言いたいかと言いますと,

たとえ2割手を抜いたとしても,残りの8割は,8割分の全力投球であるということです。

手を抜く,という行為にも,長い目で見たら意味がある,ということです。

メンタルヘルス的に申せば,8割を仕事に全力でささげたとしたら,残りの2割は,「自分のため」に取っておく,という考え方です。そうして,仕事も自分も大切にできたらいいですね。

現実に即して考えると,平日は仕事のみでプライベートは土・日のみ,というより,平日の仕事を終えたら,その後はプライベートの楽しみ(ゆとり)を持つ,ということです。

その日その日で疲れをいやし,常に翌日に<ゆとり>を持ち越せるようにしておくと,長い目で見て健康を維持しやすいです。

その2割分も自分を大切にできないということは,根にある「自己犠牲・自己否定的」思考を修正していく必要があるでしょう。

2割の「手抜き」を許せる自分とは「自己肯定的」自分です。

自分を許せると,ワーカホリックから抜け出し,ワークライフ・バランスをとり,生活はより豊かなものへと変化するかもしれません。

生真面目に仕事をしすぎて体調を崩していく人をたくさん見ていますが,そんな方へ,より多くの情報をお届けできたらと思う今日この頃です。

今日もお読みいただきありがとうございました

「自分も人も大切に」