こんにちは。マインドフルカウンセラーの小村です。
マインドフルネスを練習することには非常に多くの心理的・身体的メリットが認められているところですが,それはいったいどんなものなのでしょうか。
禅を組んだり,瞑想することで,なんで健康になるのでしょうか。
ここではその理由を考えてみたいと思います。
マインドフルネスで健康になる理由
まず,ざっくりとマインドフルネスの健康への貢献を大別すると,次のようになるかと考えています。
結論から申せば,いわゆる「マインドフルネス訓練」は,「心身のリラックス効果」と「認知的柔軟性(心のしなやかさ)」をもたらすということですね。
そして,それらは相互に影響しあっていると考えられます。
つまり,いわゆるマインドフルネスは「いま,ここ」という態度を表すものでありますが,それをもたらすツール(訓練方法)として,禅や瞑想・ヨーガなどに代表される身体的動作・行法が必要であるということかと思います。
そもそも適度な身体的動作(運動・エクササイズ)が心身に有効なウェルネスの方法になることはご説明の必要はないでしょう。
運動によるリラクセーション効果
適度な運動により身体機能が活性化され,運動機能だけでなく循環器系や呼吸器系,免疫系,中枢神経系や自律神経系にも優れた調整効果をもたらすこと,それによって心身の緊張を緩めるリラクセーション効果がもたらされ,心にもよい影響が及び,抑うつや不安などのメンタル疾患への治療や予防に対しても効果的であることは,数々の研究で実証されてきています。
心ここにあらず ☞ 今,この瞬間
それに加え,今,この瞬間への「注意集中」という認知的努力(すなわちマインドフルネス)によって,思考の反すうや「とらわれ」といった脳の加重負荷状態(心ここにあらず=マインドレスな状態)が緩和され,心理的ストレスを軽減する役割を果たしています。(誤解のないように申しておきますが,いわゆる「ポジティブ」になるわけではありません。)
「今,この瞬間」に注意を集中し,脳の容量を「今,この瞬間」で消費することで,負担になるネガティブな思考を考える余地がなくなるために,考えない状態になる,ということが,ストレスを軽減させます。
下の参考書はマインドフルネスと認知(思考・考え)の関係について詳しく書いてあります。左は少し専門的ですが,ジョン・カバットジン博士の「マインドフルネスストレス低減法」と並ぶ必読の書です。右は,CDによるガイドも付属している実践に最適な本です。
心と身体の相互作用
動作と心の状態はある意味,不可分であり,身体動作がもたらすリラックスはマインドフルネスを促し,マインドフルネスであることは心理的な穏やかさをもたらして身体的リラックスを促す…という好循環を生むことがうかがえます。
つまり,実はマインドフルネスという心理的態度の育成には,肉体を用いた「動作・運動」というメディアが必要不可欠であるという事ですね。
動作・運動の定義
ところで,「禅や瞑想」は動作(運動)なのか? という疑問を持たれる方もおられるかもしれません。
確かに,禅や瞑想の最中は(少なくとも外見上は)動きませんよね。
これは「動作」の定義というか,とらえかたによりますけど,心理学における「行動分析学」では,動作や行動を次のように定義します。
死人にもできることは行動ではない。
「行動分析学入門 産業図書 p7-8.」
禅や瞑想の最中も,ある一つの「姿勢」を維持していると思います。
姿勢を維持するには,必要な骨格と筋肉を必要なだけ「緊張」させ,かつ「弛緩」させ,体のバランスを適切にとる必要がありますね。それは死人にできるでしょうか? ・・・できません。
つまり,姿勢を維持することはれっきとした動作であり行動であるということです。
もっと言えば,「呼吸」はどうでしょうか?
呼吸も横隔膜を動かすことで成り立っていますので,れっきとした動作であり行動であると言えます。
つまり,見方を変えれば,静坐したり横たわって行う「禅や瞑想」も,きわめて「小さく」,強度の「弱い」身体動作を用いたボディワークと言えます。
拡大解釈すれば,マインドフルな態度で行う身体的動作であれば,色々な動作をマインドフルネス訓練に位置付けることができるかもしれません。
・・・ただ,「何でも」というわけにはいかないかもしれません。
マインドフルネスをもたらすために適した動作を見つけ,選択する方が効率的なのは確かでしょう。
それはヨーガかもしれませんし,普段やっているストレッチやラジオ体操かもしれません。
つまり,「マインドフルネスの心」を知っておくと,普段の生活にいつでもどこにでも,多彩な方法で,マインドフルネスを備えておくことができそうです。
今回もお読みいただきありがとうございました。
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