「考え」とはいうなれば「あぶく」のようなものです。
次々と浮かんできては、消えていきます。
ふと何か「いい考え」が浮かんだ時に、何か別のことに気を取られてしまって、その「いい考え」が二度と再び浮かんでくることはなかった、という経験をされることも多いのではないでしょうか。
本来「考え」とはこのようにうつろいやすく、儚いものなのですが、時としてそれがしつこくしつこく、忘れようとすればするほど思い出されてしまったり、あえてそれについて考え込んでしまったりして、次第にその「考え」にとりつかれてしまうことがおこります。
悩み、とはこのように「考えにとりつかれた」状態と言えるでしょう。
このような時の考えは、大体において、「極端」な状態になっています。よく言う例えが、「白黒思考」であったり、「ゼロ百思考」などでしょうか。
認知行動療法では、この極端な考え方をもう少し柔軟にすることが目標の一つになりますが、例えば、「マイナス思考」を「プラス思考」にするとか、「ネガティブ思考」を「ポジティブ思考」にするとか(どちらも同じですが)いいますが、結局これは、極端にマイナスな思考をもう一方の極端の方に偏らせましょう、ということにほかなりません。
それでは、実際、クライエントさんの実情に合わないことがほとんどです。
実際には、こう両極端にするのではなくて、考え方にも、「グラデーション」があると考えると、極端にならずに柔軟に物事を受け取っていけるようになります。「選択肢」といってもいいでしょうか。
ある状況において考えられる「考え方」には複数の可能性があって、マイナス面を否定することなく、むしろマイナス面も取り入れた上で、それを実情に合わせて使い分けていけたらいいのですね。
ただ、そういうことも理屈で分かってはいても、実際の場面ではなかなか実行できない、という方も多いのではないでしょうか。
この理屈と実際の間の「橋渡し」をどのようにしていくのかが、思考をコントロールする上で、重要な作業になります。
今日もお読みいただきありがとうございました。