人の考えることが人である
人の全ては人の考えから来ている
人の考えで、人は世界を作り出しているのだ
とはゴータマ・ブッダ(お釈迦様)のお言葉だそうです。
色々と含蓄のあるお言葉と思いますが、私は、「人の世の中への思い込みが自分の振る舞いを決める」と解釈しています。逆に言えば、考えへの囚われを無くすことができたら、人は苦しみから解放される、というのがお釈迦様の悟りの一つと考えています。
まさにこれは認知行動療法の目指すところでもあります。
もっとも、認知行動療法では、「考えの再構成」という作業を行って、とらわれているのとは別の考え方ができるようにするのですが、考え方の視点を変えたり、多角的な見方をしたりと、結構、考えに「こだわる」必要があります。
一方、近年盛んになりつつある第三世代と呼ばれる新しい認知行動療法では、考えに「こだわらず」、むしろ考え(思い込み)という現象にとらわれず、それから距離をとる、という方法によって、今の考え(思い込み)を受け入れようとしていきます。
森田療法という治療法では「あるがままに」と表現されていますが、「そのままを受け入れていく」というスタンスです。
第三世代の認知行動療法には東洋の禅や瞑想といった精神修養の方法を応用した「マインドフルネス」という概念が持ち込まれており、必然的に、仏教的な観念が治療にも応用されることになってきたのではと考えられます。
お釈迦様がインドで修行時代を過ごして悟りを開かれたのがおよそ2000年前として、今の我々が苦しみから解放される方法はすでに、その頃に成立していたとも言えるのですね。逆に言えば、人の苦悩は2000年間変わっていない、ということでしょうか。
我々の苦悩もいつか誰かが通った道なのかもしれません。その結末はわかりませんが、これからどう進むのかは、自分自身で選択することができる、という事実は肝に銘じておきたいものです。
今日もお読みいただきありがとうございました。