広島心理教育研究所 メンタルヘルス相談室Cachette代表・臨床心理士の小村緩岳です。
行動の「制約」として、前回は「自己否定」について取り上げましたが、自己否定的な信念は、実は、「自分は何でもできるはず」という「全能感」と呼ばれる別の信念と結びつくことが多いです。
それは、何でもすべてを「完璧にこなさねばならない」という、信念とも関係します。
何でもできるから何でも完璧にできるはずだから、しなければならない。
その信念が裏返ると、
「それができない自分は、無能だ。」
となります。
で、現実世界では、何でもできて完璧にできるということはほぼありえないので、常に「できない自分」を確認して生活することになります。
つまり、自分を否定するための根拠として、完璧主義が存在しているということです。
完璧主義、全能感、それは、「欠点のある自分」を受け入れられない、ということなのです。
逆説的ですが、自己否定を克服するには、欠点のある自分を「受け入れる」ということがテーマになります。
完璧主義や全能感も、例によって自分では気づかないところで行動の制約として機能していることがよくあります。
- 知らず知らずのうちに、自分に「完璧」を強いていませんか?
- 物事全てを「自分のせい」などと思っていませんか?
引き続き、「つぶやき」に耳を傾けてみましょう。
- 「それが完璧に出来ない自分はダメだ。」
- 「完璧にできなければやる価値がない。」
そんな「つぶやき」はありませんか?
「完璧にできないからダメ」だったら、誰も何も成し遂げられないし、「完璧にできなければやる価値がない。」のなら、この世に文明は存在していないかもしれません。
本当に、「一人よがり」な思い込みですね。
視点を変えれば、それは「人からの目線(評価)」を気にしている訳で、実は、「人からの評価が自分の価値を決める」、と「思い込んで」いるのです。
- 「完璧にできなければ、誰からも評価されない」
- 「完璧はないので、実際誰からも評価されない。」
- 「だから自分はダメだ。」
どうでしょう?
そんな理不尽な「思い込み」によるつぶやきをしていないか、ご自分のこころの中を、少し点検してみてくださいね。
今日もお読みいただきありがとうございました。
「自分も人も大切に」