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カウンセリングオフィス広島心理教育研究所

最近のストレスのセルフケア事情(ストレス・コーピング)

ストレス・コーピングとは

ストレスが多く,それをうまく発散することができないと,疲労が蓄積して,心身の不調につながります。

発散の方法は人それぞれですが,ストレスの発散法を総称して「ストレス・コーピング」と言います。

メンタルヘルスの領域では,ストレス理論に合わせて様々なコーピングの知識を持ち,具体的に実践していくことによって,ストレスを緩和して健康を保つことが推奨されています。

コーピングには大きく,以下の二つに分類されることが知られています。

  • 情動焦点型コーピング

  • 問題焦点型コーピング

情動焦点型コーピング

ストレスによる不快な気分や感情を,気分転換を図ることによって解消し,快い気分を取り戻すこと。具体的には,スポーツや読書,映画やカラオケ,散歩やキャンプなど,人それぞれの嗜好に合わせた趣味・楽しみごとを持つことです。好きで,没頭できることなら,何でもいいといえますが,ほどほどに行うことが大切です。

実際,楽しみをたくさん持っている人ほど不安を感じにくく、抑うつ気分も少なくなるという研究結果が出ています。

ただ,それまでは楽しめていたことなのに,それをすることが負担になったり,億劫になってしまうときは,疲れがたまりすぎていることも考えられるので,無理せず,まずは疲れをとることが先決な場合もあります。

そうした状態が長引くようなら,医療機関を受診も視野に入れることも必要です。

「楽しみごとリスト」などを使っていろいろと工夫してできるだけたくさんの楽しみごとをもてたらよいですね。

また、持っている楽しみごとを定期的に実行できているかどうかが大切です。旅行などはそう度々できるものではないですが、年に数回の楽しみごととして計画しておき、その間を埋めるために週2~3回程度できる軽い楽しみごとができたらよいですね。

問題焦点型コーピング

ストレスにはストレスの原因になるもの(ストレッサー)と,それによって生じる心身への影響(ストレス反応)がありますが,前述の情動焦点型コーピングは,ストレス反応への対策になります。

問題焦点型コーピングは,その原因であるストレッサーに対しての対策になります。

したがって,ある意味,不快なものに対して「向き合う」ということになるため,うまく行えばストレスを軽減することになりますが,一時的にかえってストレスが増す,ということもあります。

したがって,情動焦点型コーピングとうまくバランスを取りながら長期的に取り組むことが大切です。

問題焦点型コーピングでは,問題がうまく解決できていないことがストレスになっている,と考えますので,いかに,問題を解決するか,というその合理的な方法を工夫し,実行することになります。

問題のリストアップ・課題の細分化・優先順位付け・目標設定・ロードマップの作製,・to do リストの作成など,ビジネススキルと基本的には大差ないですね。

何か問題が解決できずに「引っかかっている」ときに,そうした流れをまずはチェックしていくことで,問題を洗い出します。

そして,「今までとは違う方法」を試みるという思考法が大切です。「うまくいかないのなら,何か別の方法を試してみる」,という,当たり前のようで意外と忘れがちな視点で,自分の問題を眺めてみましょう。

必要なのは,なにか技術的・道具的な何かかもしれませんし,思考法の転換,行動の転換,かもしれません。わからないときには,「相談」ということも重要ですね。

じっさい,相談は,情動焦点型コーピングでもあり,問題焦点型コーピングでもあり,とにかくストレスを解消するという意味では第一選択としておいて間違いはないでしょう。

パターン崩しでストレスの緩和

何かいつものパターンを「くずす」と人の気分や行動は大きく変わります。

言い換えると、人の気分や行動は環境のいつものパターンに条件付けられているということです。よい気分も悪い気分も、合理的な行動も非合理的な行動も条件次第、ということですね。

だから環境調整が大切、と言いますが、環境を変えることが難しい場合もおおいわけで,それだけだと対処の選択肢が少なくなりますので,自分自身の変えられるところを変え,ストレスへの耐性を高めるということも重要な取り組みの一つでしょう。

近年よく知られるようになった「マインドフルネス」を始め,積極的に心を鍛え、コントロールしていくための理論と方法に注目が集まりつつあります。

自分の心を常に「よい状態(フロー状態)」に保つこと、それを持続していくための訓練や工夫を能動的に行うこと。これが現代の働く人に求められているセルフケアの最新事情のようです。