広島心理教育研究所代表,臨床心理士・公認心理師の小村緩岳です。
マインドフルネスでは、問題に「とらわれない心」の育成を目指します。
- 今考えても仕方がない。
- 今は今のことを考えよう。
- 今やるべきこと、今考えるべきこと、
- 今感じていること、
- 今まさにここで体験していること
に注意を向けます。
つまりは、考えないこと、なのですが、考えないことは実際問題難しいので、何か一つのことに集中する必要があり、そのためには、座禅や瞑想が適している、ということです。
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でも、そうすることがどうして、カウンセリングなどの心理的支援になるのでしょうか?
そのためには、まず、「人の悩み」について知らねばなりません。
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人の悩みとは、大抵、頭の中で起こる「過去の想起」か「未来への不確かな予測」です。
それは不快なものですが、現時点「今」においては、頭の中で生じている「イメージ」「思考」に過ぎないのです。
だから、頭の中の過去や未来から「現在」に戻ってくれば、その悩みは消失するはずのものなのです。
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そして、そのイメージや思考が「一過性」ならそう問題にはなりません。
問題なのは、それが、「絶え間なく繰り返されてしまう」ことにあるのです。
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それを、「思考の反すう」とよびます。
悩みにとらわれた状態とは、この『反すう』によるものなのです。
反すうされると、悩みとなる思考やイメージは、あふれんばかりにいっぱいいっぱいになります。
そうすると、もはや、冷静な判断は望めず、悩みは混迷を深めるばかりです。
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とすれば、『反すう』を止めればいいのです。
反すうは考えの反復なので、考えることをやめたらいいのですが、先ほども書きましたように、考えることをやめるのは難しいものです。
なので、「別のことを考える。」のです。
それによって、もともとの悩みに関する『反すう』思考を休止させることができます。
つまり、悩みごとに向いていた「注目」を別の対象に変える、ということです。
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気になっている悩み事に代わりに、呼吸とか、体の感覚といった、今まぎれもなく存在しているものに、「注目」をあたえるようにします。
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そうするとどうでしょう。
もともとの悩みから注意がそれますので、考えなくてすむようになります。
考えたとしても、あまり気にならなくなります。
そうすると、本来の「思考のリソース」が最大限活用できますので、冷静に物事を判断し、客観的に評価し、計画的に行動することができます。
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カウンセリングでマインドフルネスを用いるのは、このようなプロセスをもたらすためなのです。
決して、「悟り」を開いたりすることが目的なのではありません。(笑)
前回書いたような呼吸を練習するだけでも、結構効き目があります。
ぜひ、実践してみてくださいね。
今日もお読み頂きありがとうございました。
小村緩岳
P.S.
マインドフルネスの効き目の一つは、「冷静に、自制の利いた判断力」が身につくことです。
米国の有名企業が社員に進めるのもうなずけますね。
今日もお読みいただきありがとうございました。
「自分も人も大切に」