広島心理教育研究所 メンタルヘルス相談室Cachette代表・臨床心理士の小村緩岳です。
ストレスは生理学的な体への悪影響が問題ですが、その背景には、ストレスの心理的な「意味付け」というこころの働きが大きく関与しています。
ストレスの原因となる問題や悩みは、ほとんどの場合、誰にでも起こりうることなのですが、その受け取り方は一人一人違います。
お金を落として、
「あれがあれば、これが買えたのに!」と考えるか、
「拾った奴は喜んだだろうな。次は拾う番になるぞ!」と考えるかで、ずいぶん気持ちは違うと
思います。
・・・
これは、かなり表面的な気持ちの例で、この表面的な考えによっても気持ちを操作することができますが、それだけでは不十分なことがあります。
それをもっと掘り下げると、
- 「何でもっと注意しなかったんだろう。」
- 「いつも自分は不注意で失敗をしている。」
- 「私はいつも失敗ばかりだ。」
- 「結局私は、ダメな人間なのだろう。」
というように、思考が自己否定的な方向のスパイラルにはまると、「財布を落とした」、という失敗が、「自分はダメ人間」という、妙に拡張された自己否定につながります。
これが、思考の根っこにある「スキーマ」と呼ばれるガンコな「ストレスの元」です。
スキーマには色々種類があることが知られていますが、自分自身では自分が「こんなスキーマを持っている」ということには気づいていないことが普通です。
そしてスキーマは、たいていの場合、非常に極端で非合理的な、「思い込み」といえます。
このスキーマにとらわれていると、あらゆることが「ストレス」に感じられてしまい、いつも不安やうつうつとし、疲れやすい状態で生活することになります。
この、自分のスキーマに気づく、そして、それに影響されている自分の「今現在の思考に気づく」これが、
- 「自分とコミュニケーションをとる」
ための始めのステップです。
- 「今自分はこう考えている。」
- 「今自分はこう感じている」
ということを、少し意識しながら、生活してみましょう。
今日もお読みいただきありがとうございました。
人も自分も大切に。