メンタルヘルス不調には様々なストレスが影響しています。
しかしながらストレスがないという状況はありえないので、問題なのはそのストレスをコントロールできていないこと、そしてコントロールしきれないほどの複雑なストレス状況に置かれてしまっているということです。
ストレス因になるものとしては、人間関係、仕事の量・質的な負荷、労働時間、セクハラ、パワハラ、家族関係など公的・私的なものを含めて多岐にわたります。また、そうしたストレス因を強めたり弱めたりする要因として、性格や周りからの助けの有無などがあります。
いずれにしましても、それらのストレスが長期にわたって維持されていると、心身が疲弊し、やがてうつ病や不安症、心身症などのいわゆるメンタルヘルス不調から、ストレス関連疾患を発症してしまいます。
病の段階に至りますと、仕事も休むことになり、治療にも時間がかかってしまいますので、できるだけ「予防」をすることが大切です。
予防には、他の内科的な疾患と同様に、ライフスタイルに気をつけたり、定期的に健診(ストレスチェック)を受ける、自覚症状に気をつける、ことなどが有効です。
ただ、ストレスチェックにしても、会社からの評価を気にせず正確に回答しなければあまり意味はありません。
むしろ、何でもないように回答して、実際は辛いのに、我慢してしまう人が多いのも現状です。
それで、不調が強まってしまっては元も子もありませんので、せめて現在のご自分のストレス状況を理解して、自覚症に気を配り、セルフケアを心がけることが必要です。
ストレスの強さを最大を10、最小を0として評価するとしたら、今どのくらいでしょうか。
今、何に強いストレスを感じているでしょうか。ストレスにもライフイベントといって、生活上の大きい変化によってもたらされるものもあれば、日常生活上の些細ないらだちごと(デイリーハッスル)が蓄積されることによってもたらされるものがありますが、思い当たることはありませんか?
ストレス因がある程度はっきりすれば、それに対して具体的に対処を取ることができますが、ライフイベントはその影響が数ヶ月とか一年後になっても現れることがありますし、特殊なものでは「記念日反応」と呼ばれ、過去の出来事が起こった時期になると、同じような反応が現れるものもあります。
「ストレスは忘れた頃にやってくる」とでも言ったらいいでしょうか。そうしますと、今の自分の不調がどういう理由で起こっているのかわからないので、理由がわからないままに頑張り続け、どうしたらいいのかわからなくなることも少なくないです。そのまま頑張り続けますと、それが何らかの体からの悲鳴(自覚症状)となって現れてきます。
主な自覚症としては、以下のものが見られます。
- 不眠(睡眠障害)
- 食欲や体重の減少
- 性欲の減退
- 寝汗
- 頭痛や腹痛など
- 気分のおち込み
- 休みを楽しめない
- 倦怠感
- 考えがまとまらない
- 罪の意識(にとらわれる)
- 人と接することが苦痛になる・避ける
こうした自覚症状があったら、それだけで辛いものです。自覚症状を心と体からのメッセージと捉えて早めに対処をするか、そのままごまかしながら頑張り続けるか、どちらかによってその後が違ってきます。
セクハラやパワハラ、毎日の仕事に追われる忙しさなど、原因がわかっていてもそこから抜け出せない辛さもあるでしょう。
みんなが頑張っているから、自分の頑張りが足りないから、と自分を追い込んで、追い詰めないように、少し息を抜く時間を作って、ほかならないご自分の心と体からのメッセージに耳を傾ける余裕を持つことセルフケアの第一歩です。
心の余裕作り、セルフケアのコツに少しでもお役に立ちたいと思っています。長文お読みいただきありがとうございました。