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カウンセリングオフィス広島心理教育研究所

子どもも大変だ。「不登校」として現れるうつ

学校のカウンセリングではニーズに応じて仕事の内容が決まりますが、やはり不登校の問題が頻度としては多くなります。

私がスクール・カウンセラーを始めて12年前になりますが、この12年でも学校を取り巻く状況は大きく変わり、児童・生徒の問題もより多様化してきたように思います。10年前には通用したようなことが今はもう通用しない、ということも多く、それに応じて対応の仕方も変えていかないといけないわけで、試行錯誤の日々です。

不登校も一口に不登校といっても様々なタイプがありますが、このところの不登校にはやはり発達面での問題や家庭環境との相互作用、そして、自分で自分にプレッシャーをかけすぎるような性格的特徴によって生じる息切れ症候群とでも言うべき、「うつ」が背景にあることがとても増えているように思います。

子どものうつ病は前から指摘されていますが、症状としては、抑うつ的になるよりも、イライラしたり、怒りっぽくなったり、体の症状として現れるなど、わかりにくい症状が多いのですが、近年は、大人と同じように気分の落ち込みや罪悪感などによって人生に絶望するタイプのいわゆる「メランコリー型のうつ病」が子供にも蔓延しているような印象です。

昨日、何気なく見ていたテレビ放送でも子供のストレスについて取り上げられていましたが、最近の子供の多くには勉強やスポーツ、習い事、複雑化する人間関係など、やたらと「義務」を課せられているような気がします。

その中で子どもは期待に応えることを義務と捉え、自尊心を高めていくことができるのでしょうけど、一方ではとても息苦しい生活をしていることになるのかもしれません。

親の期待、義務感の中で、子どもの本来の「義務」である遊びが奪われてしまうと、当然、心は疲弊していきます。大人でも遊びがないと容易にうつになってしまいますが、子どもなら尚更です。

子どもに軽い抑うつが続くと、次のような経過をたどることが多いようです。

ゲームなどへ逃避的行動の増加(やがて依存に至る危険)、昼夜逆転(不眠)、睡眠不足による寝坊、五月雨登校、完全不登校。そして、お決まりのように、「日内変動」が起こります。

大体、朝は強度のうつ状態、昼を過ぎて、夕方になると元気になり、寝る前には「明日は行く!」と宣言します。しかし、朝は起きられず、同じことの繰り返しになります。こうした場合、本人は、「学校へ行きたい」という気持ちを持っているけど、朝になると動けない、という状態が条件付けられてしまいます。

こうした子どものうつとも思える不登校に出会うといつも思うのことは、まずは疲れた心を休ませるために、あえて学校を安心して休ませる環境を作れないものか、ということです。

そして、好きなことに取り組む中で、徐々に自分の本来の力を取り戻してくプロセスを後押ししていくように、保護者も柔軟に対応し、学校も環境を調整していく、というように、あせらず長期的な展望で考えていくことです。

うつはそもそも頑張りすぎだから、「頑張れ」と励ましてはいけない、とよく言われます。しかしながら、子どもに対してはそれが考慮されることは少なく、頑張り過ぎで息切れしている子供に、親や学校が登校を促すことは「もっとがんばれ」と言っているのと同じことです。

実際、子どものうつは本当に「うつ病」として捉えられるものなのか、それともいわゆる「わがまま」と捉えられるものなのか、その一線を見極めるのは難しいものですし、うつが家庭内の環境によって二次的な問題をもたらすことも少なくなく、それがますます見立てを難しくしてしまうこともあります。

子どもが学校へ行かなくなったら、多角的な見方で状況を整理して、適切な働きかけを出来るだけ初期の段階で行うことで、早期の解決が見込めます。大人の場合も子供の場合も、「急がば回れ」の気持ちで、少し余裕を持って関わりたいものです。

特に、子どもの重要な治療的資源としての親の存在の大きさを強調しておきたいと思います。

今日もお読みいただきありがとうございました。

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