私は心理カウンセリングを生業とする臨床心理士となってはや13年がたちます。
私が臨床心理士になった頃は、まだ指定大学院がないころで、受験するには修士号と一年以上の「実務経験」が必要でした。
従いまして、臨床の現場に足を踏み入れてから、今年でちょうど15年目になります。
15年くらいならベテランの先生方からみればまだまだヒヨッコでしょうけど。
その自覚を持ちながら、今年もますます精進していきます。
この15年の間、精神科、企業や学校、そして開業と、多くの現場で多岐にわたる経験を重ねてきました。
本当にいろいろな現場で鍛えて頂き、そして今の自分があります。
職場で求められること、要求されることに一つ一つ応えていくごとに自分の能力が引き出され、鍛えられていることをいつも実感しています。
さて、
私はカウンセリングを行う際の方向性としては「認知・行動療法」の理論と方法を用いています。
本ブログの記事も、ほとんどがその方向からの記事となっています。
ただ、それは一般の方々が持つ「カウンセリング」のイメージとはずいぶん離れたものではないかとも思います。
認知・行動療法では、客観性や合理性といったサイエンティフィックな面を重視しますので、どうしても、表現が硬くなったり、説明が冗長になったりしがちなところがあります。
もちろん、認知・行動療法は多くの実証的な研究によって、うつをはじめとする心の問題に対して効果を発揮することが確かめられていますが、それだけに、理論や技法にこだわりすぎると、肝心のクライエントさんを置き去りにして、カウンセラーの一方的な「押し付け」となってしまい、クライエントさんが本当に望む支援が中断するということにもなりかねません。
認知・行動療法ではクライエントさんの「自発的な取り組み」がどうしても求められますので、それには、治療者であるカウンセラーとの信頼関係が何より大切になってきます。
そこで、私もカウンセリングの際には、認知行動療法をいったん脇に置いておき、必ず「来談者中心療法」による受容・共感によって話を伺うことを第一ステップとしています。
どんなお話でも、素直な気持ちで肯定的に受け入れ、そして共感的に理解することを通して、クライエントさんのことを本当に親身になって理解していくことを優先しています。
それによって、クライエントさんが本当に悩んでいること、解決したいこと、達成したいこと、本当の望み・願いをモヤモヤした霧の中から明確化していくことからはじめて、徐々にそれに対してのご自分の価値観に沿った形の「目標」を見いだして頂くことを何より大切にしたいと思っています。
「目標」の設定は、簡単なようで、実は結構難しいものですよね。
そこにたどり着くことが前提な訳ですが、たどり着くためには「苦労を伴う行動」が必ず必要です。
その苦労をものともしない「価値」が目標にはなくてはいけません。
そう考えると、皆さんが今「目標」とされているものは、払いうる「コスト」に見合っていますか?
ルヘルス
今日もお読みいただきありがとうございました。