ォールストリート・ジャーナルの日本版の記事に、「職場の仕事、家庭ほどストレスにならず」という興味深い研究が掲載されていました。
これまでは職場の方が著しくストレスが大きいという理解に基づいて、家庭でのストレス解消を大事にしましょう、というのがメンタルヘルスの常識でしたが、それを覆す内容です。
詳細は原著を読まないとわかりませんが、経験上は「?」に思うところと、納得がいくところが半々くらいでしょうか。
カウンセリングの際、「家にいるより仕事している方が楽」とか、仕事よりも家庭での夫婦関係とか子供の問題でストレスを抱えている相談が多いのも事実ですし。
どうやら、記事の内容からは、(ほかにも考慮すべき点は多いが、)仕事には「価値」があり、家庭ではそれが少ないことが影響している、ということのようです。
確かに物事に「価値」とか「意味」を見出すことができれば、心の健康度はアップすると思われますし、実際、仕事優先で生活している人には仕事の方により大きい価値をおいている人が多いのも事実でしょう。
しかし、だからと言って、職場での持続的なストレス状況が不調をきたす一因となることも事実ですし、こうした情報でますます仕事にのめり込んでしまう人が増えたりしないかということも危惧します。
いくら仕事に価値を見出して家庭よりもストレスが少なく充実して仕事をしたとしても、そこからの逃げ場がなければ、なにかのきっかけでぽきりと心が折れてしまうことも。
実際のカウンセリングでは、仕事上の疲れで不調をきたしている人の多くは、家庭での生活にあまり充実感を見いだせていないことが実際、多いです。
そうした場合、家庭でのストレスの減らし方、楽しみごとの見つけ方、家庭生活を充実させるために、という方向性でのかかわりが多くなり、それで成果も上がっています。
個人的な印象としては、多くの人が、仕事上のストレスを家庭にも持ち帰って、それをあまり適切でない方法で解消しているように思うことが多いです。
仕事で疲れた心身状態で、家庭でのストレスにさらされると、結果的に累積されたストレスが大きくなってしまうのかもしれません。
結局、私見になりますが、臨床的には、仕事一辺倒の価値観や、仕事>家庭となっている価値観を見直して、仕事と家庭の両方に価値をおけるようにしていくことで、仕事の疲れを癒し、さらに生活全体を活性化できる、ということでしょうか。
今日もお読みいただきありがとうございました。